2008年09月10日

今月24日から映画祭に行きます。

なんだか、ようやく日記を書く気になりました。
英語のmyspaceには書いてるんですよ、たまに。
なぜか日本語の文章を書く気分になれないんですよ、最近。

アメリカナイズされてきたんだろうか、オレも。。。

最近は、来年の学費をどうしようか、しきりに悩んでいます。

まあ、いろいろ工面の方法を考え中です。なんとかなるだろ、と思いたい。。。


さて今月9月23〜25日にテキサスのオースティンの映画祭に行ってきます。

僕らのてがけるピンク映画が二本選ばれました!
英題「A Lonely Cow Weeps at Dawn」と「S&M Hunter」という二本です。
日本語タイトルはあんま云いたくないが(笑)、
「乳搾り、背徳の牛舎」と「緊縛・SM・18歳」です。

映画祭のサイトから予告編が見れます。videoのところをクリックしてください。
Lonely Cow↓
http://fantasticfest.bside.com/2008/films/alonelycowweepsatdawn_fantasticfest2008

S&M Hunter↓
http://fantasticfest.bside.com/2008/films/smhunter_fantasticfest2008

映画祭トップページ
http://www.fantasticfest.com/

アメリカに住んでる方、是非きてください。学校なんて休みましょう。仕事のある方、今から上司に相談しましょう。

日本に住んでる方、まだ飛行機のチケットは間に合います。ちょっとくらい海外旅行したってバチは当たりません。アメリカ人に囲まれて日本のピンク映画を見るチャンスはめったにありません(笑)
この二本、ホントに面白いんです。

ヴァラエティにも特集されました。
http://www.varietyasiaonline.com/index.php?option=com_myblog&show=AUSTIN-GOES-PINK.html&Itemid=10021

オースティンに行けるのも個人的にすごく楽しみです。
アメリカに来てからというもの、LA以外どこにも行ったことないんで。

オースティンの観客がどういう反応をするのか、今から楽しみだ〜

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2008年08月03日

映画レビュー#65「たそがれ」

tasogare.jpg
基本情報
「たそがれ(いくつになってもやりたい男と女)」(2007、日本)
監督:いまおかしんじ(たまもの、かえるのうた)
脚本:谷口晃
製作:朝倉大介
出演:多賀勝一、並木橋靖子、速水今日子、吉岡研治

2008Far East Film Festival正式出品作品

公式サイト
http://pink2000s.cocolog-nifty.com/meikemitsuru/cat8055218/index.html

今作のDVDです。


ストーリーと映画情報
御歳65歳になる左官職人の鮒吉は、毎日スカートめくりをしたりスナックのママとの情事にふけったりと自由気侭な生活をおくっている。彼の妻は、病床にふせており、いつ何時、危篤に陥るかわからない状態であった。そんな中、鮒吉は中学同窓会に出席し、そこで初恋の相手である、和子と再会する。その再会をきっかけに、鮒吉の脳裏に青春時代の日々と和子への思いが甦っていく。
ピンク映画界の鬼才、いまおかしんじ監督が老いと性を真正面から描いたハートウォーミングラブストーリー。

老いと性、そして愛
人間はいくつくらいになると、男と女であることをやめてしまうのだろう?皆、老いと共に自然とやめていけるものなのだろうか、それとも世間や常識といったような類のものが、やめることを強いるのだろうか。
おそらく日本人で50歳を超えてセックスをする夫婦は相当珍しいであろう。いや、世界中でもそれは珍しいに違いない。どこの国でも、ときめきやセックスを楽しむというのは、若者の専売特許のように扱われている。老いと性、そして愛はあたかも反比例の関係にあるようだ。生き続ければ誰でも直面するこの問題に真正面から取り組んだ作品は、日本にはそう多くない。ピンク映画の異才、いまおかしんじは勇敢にもこの問いかけに回答しようと試みた。製作の自由度の高いピンク映画であればこその挑戦だ。

死のその瞬間まで人生を楽しむこと
主人公の鮒吉は、還暦をすぎてもなお、旺盛な性欲を持ち続けている。若い女性のスカートめくりと行きつけのスナックのママとのセックスを習慣としている。そんな彼を息子夫婦は、恥ずかしく見ているが、孫だけは鮒吉の味方である。自由気ままな明るい老後生活を送っている彼だが、この年齢は常に死というものを意識せねばならない。鮒吉の妻は病床に伏せていて、彼の長年の友人も死に至る。それを壮年期の宿命だと登場人物たちは、誰もが理解し受け入れてもいる。そんな中で、主人公、鮒吉のスケベとはいえ、自分の好きな事をやり続けて人生を楽しもうとする姿勢は、年甲斐もなく恥知らずなものというよりは、さわやかで前向きなものに見える。すでに主人に先ただれたヒロインの和子もまた、息子夫婦との共同生活に疲れを感じている。鮒吉は和子をホテルに強引に連れ込み、自分の股間に彼女の手を当てさせる。このシーンのヒロインは、少女のような恥じらいと長らく感じていなかったであろう幸福感を見せ、秀逸だ。息子夫婦と東京に引越す和子は鮒吉に、「今夜の思い出で一生生きていける」と感謝の意を示す。残りの人生が彼女にどれほどあるのがわからない。しかし、人間は息を引き取るその瞬間まで、人生を楽しむ権利があるのだ、死を日常的に意識しなければならない彼らの状況だからこそ、その言葉には一層の重みがある。そして、夜遅く帰宅した和子は、それを非難する息子夫婦に「母ちゃん、今日は女やねん」と静かな口調で諭す。あえて彼女は「今日は」と云うが、この日の美しい思い出は、彼女が生きを引き取るその瞬間まで、彼女を「女」にし続けるだろう。

女は灰になるまで女と云うが、男もまた灰になるまで男なのだ。愛と性があってこそ人生は華やかになる。いくつになってもそれを止める必要はないし、それを止める権利などだれにも無いのだ。
人間、だれしも灰になるまで男と女だ。この映画はそれを信じる勇気を与えてくれる。


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2008年07月09日

映画レビュー#64「花井さちこの華麗な生涯」

hanai.jpg
基本情報
「花井さちこの華麗な生涯」(2004、日本)
監督:女池充(ビタースイート)
脚本:中野貴雄(花のおんな相撲、ヅラ刑事)
企画:朝倉大介
出演:黒田エミ、伊藤猛、螢雪次朗

本作のDVDです。
  

ストーリーと映画情報
イメクラ嬢のさちこは、ある日流れ弾を額にくらうが、なぜか死なずにすんだ。しかし、その日を境にさちこは自分が天才的な頭脳を持ってしまったことに気づく。一方、さちこに弾丸を放った男、キムは、そのゴタゴタでさちこの荷物に紛れ込んだ「ブッシュ大統領の指」を取り戻すべく、さちこの家に乗り込むが。。。。
国際政治問題、哲学的考察をふんだんに盛り込んだ、奇想天外なセックスコメディ。

政治と性
ピンク映画が隆盛を極めた60年代、その旗ふり役であった若松プロが産んだ一連の作品は、一般映画では扱いきれないような、政治的タブーを主題としたものだった。ピンク映画においては、総理大臣を暗殺しても、乱交しても、天皇暗殺を目論んでもOKだった。当時のピンク映画の存在意義は性的表現のみならず、あらゆるタブーを犯すものであったといってよい。しかし、21世紀のピンク映画には、そうした過激な意思を持つ作家はほとんどいなくなった。作家の個性が存分に発揮された作品こそあれど、社会に向けて強いメッセージを発する作品は60年代に比べればめっきり減った。まじめに政治を語っても真剣に聞いてくれる人は少ないからだ。今日、政治問題や哲学を語るには、「一工夫」しなくてはいけない。この映画は、それをまさに実践している。

セックスという実践性に勝るものはない(笑)
物語は、銃弾が脳みそのめり込んだために天才的頭脳を持ってしまったイメクラ嬢を中心に展開する。イメクラ嬢、さちこは哲学や国際政治に思いを馳せるようになり、ある大学教授に形而上学理論よりも実践性だと説き、セックスをする(笑)そして、偶然手に入れたブッシュ大統領の指のレプリカに犯されたりもする。この指、TV画面に写っているブッシュの意思で思い通りにさちこを犯せるのだ(笑)そしてこの指は、世界を滅ぼす力のある兵器を作動装置で、某半島の国が狙っている。この指さえあれば、実際にその兵器を開発、所有する必要はなくなるのだ。現実世界でも、しきりに某国はそれを所有していると喧伝されているが、真偽のほどはこの映画並に疑わしい(笑)国際情勢において疑わしいのは、それだけではない。アメリカがイランに向けている核疑惑も同様だ。政治家は、報道すらプロパガンダとして周到に利用しているのだ。また、大学教授の息子(軍事オタク)の家庭教師を請け負ったさちこは、彼の説く軍事的陰謀論に対し、日本も独自の防衛政策を打ち出す必要があるとの考えに達するが、そうした机上の理論展開を上回るものとして、やはり彼に対してもセックスを提供する(笑)

複雑な国際問題を実践的セックスによってパロディとする手法は非常に斬新だ。この映画はくだらないといえば、くだらない。しかし、そのくだらなさによって、たとえばブッシュ政権がしかけるようなプロパガンダのくだらなさを描いている。この映画はデマゴーグのように深みに欠けるが、その浅はかさが返って国際情勢を批評的に見せるのだ。その意味でこの映画は逆説的にとても深みのある映画とも云える。

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2008年06月18日

映画レビュー#63「乳搾り、背徳の牛舎」

chichisibori2.jpg
基本情報
「乳搾り、背徳の牛舎(痴漢義父、息子の嫁と・・・」(2003、日本)
監督:後藤大輔(ブラインド・ラブ、言い出しかねて)
脚本:後藤大輔
製作:池島ゆたか
出演:麻木涼子、佐々木ユメカ、中村方隆、なかみつせいじ

公式サイト
http://xcity.jp/shin-toho/ROADSHOW/0308/

今作のDVDです。
  

ストーリーと映画情報
酪農家の周吉は息子を事故で亡くし、息子の嫁である紀子と二人で暮らしている。一見平穏な暮らしを送るかに見える二人だが、周吉は明け方になるとボケの症状がでてしまい、かつてかわいがっていた牛がまだ生きていると思い込んでしまう。そんな義父のために紀子は、毎朝牛舎で裸に四つん這いになり、死んだ牛、花子になりすます。周吉はその紀子の乳を本物の花子と思い、お乳が出ないことを心配しているのだが・・・
日活ロマンポルノ時代から活躍するベテランピンク監督、後藤大輔監督の奇想天外なインモラル恋愛劇。

ピンク映画について
現在、アメリカで日本のピンク映画の配給業務に携わっている。不勉強であったので、この仕事に関わる以前は、日活ロマンポルノ以外は見た事が無かった。このピンク映画というジャンル、単にエロティックというだけでなく、多種多様な作品が存在する。数回のセックスシーンがあれば、どのような企画でも通ってしまう風通しの良さがあり、それゆえ監督の個性が存分に発揮されている作品が多い。古くは若松孝二や足立正生、現在日本映画界の第一線で活躍する、周防正行や黒沢清もデビュー作をピンク映画で撮っている。新人監督でもデビューしやすく、作家性を存分に発揮できる土壌は今でも健在であり、今日でも個性的な作品が数多く生まれている。

ピンクでしかなし得ない傑作
この「乳搾り、背徳の牛舎」はまさにピンクでしかなし得ない傑作と云える。正直、ファーストシーンをみただけで仰天し、これは傑作だと確信した。まず題材がすごい。嫁が義父のために牛になりすまし、ボケた義父はその嫁を牛だと思い、乳を搾る。一般映画では、まず実現不可能なアイデアだ。不可解かつインモラルな関係ではあるが、二人の間には純愛が存在する。それは他人のモノサシでははかれない類のものだ。ボケた義父を愛する嫁。彼女は義父を悲しませまいと毎朝牛になりすます。朝のみに発症するまだらボケを認識できない義父もまた息子の嫁を愛している。息子はかつて、牛の花子と共に事故で死んだ。のどかな田舎で暮らす二人の世界に通常の社会が入り込んで来た時、二人の関係は崩れ始める。土地の権利書を狙うブローカー、数年前に家出した実の娘が彼らの異常な関係をなじる。しかしたとえ異常であっても嫁の紀子にとっては義父と一緒にいれることが幸せなのだ。正気を取り戻した義父に、牛の泣き真似をしながら肉体関係を迫る圧巻のラストシークエンスでは、いつのまにかその以上な愛の世界に観客は引きずり込まれている。

本来、愛に決まった型は無い。どれだけ異常であってもそれが純愛であれば美しい。昨今の日本映画でこれほど美しい純愛を描いた作品はない。いや日本映画史を振り返ってみても、これほどの強度の純愛を描いた作品が何本あっただろうか。
今作品は日本映画史に残る傑作だ。

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2008年06月11日

ようやく復活できそうです。

ようやくSanta Monica Collegeを卒業できました。

三年半、長かった。。。。
最後の学期は、インターンシップと学校の授業であまにも忙しかったため、全然更新できていませんでしたが、ようやく復活できそうです。

映画はたくさん見ていたんです、インターンシップの仕事として。
実は、今日本のピンク映画をアメリカで配給しようとしている会社のお手伝いをしているので。

このピンク映画というジャンル、実はこの仕事を始めるまでまったく見た事がありませんでした。
これがまた、面白い映画がたくさんある!
低予算ではあるのですが、セックスシーンをいくつかあればどういう企画でも以外と通るこの業界。面白いアイデアの宝庫ですな。

下記のサイトで、僕らの作った予告編が見れます↓
http://pinkeiga.com

映画の配給、セールスの現場には関わるのは僕も初めて。学ぶ事が多いです。

今後は一般映画の他、ピンク映画のレビューも書いていこうと思います。

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2008年01月15日

映画レビュー#62「ONCE ダブリンの街角で」

once.jpg
基本情報
「ONCE ダブリンの街角で」(2007、アイルランド)
監督:ジョン・カーニー
脚本:ジョン・カーニー
製作:マルチナ・ニーランド
出演:グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァ、ヒュー・ウォルシュ

公式サイト
http://oncethemovie.jp/

2007サンダンス映画祭ワールドシネマ部門観客賞受賞

今作のサウンドトラックです。必聴!
 

ストーリーと映画情報
ダブリンのストリートでオンボロギターで弾き語る男に女は10セントのチップを差し出す。女の執拗な質問攻めに多少ウンザリしつつも、男は女の掃除機の修理の約束をする。途中、女の行きつけの楽器屋で彼女のピアノ演奏に心撃たれた男は、一緒に自分の作った曲を演奏しないかと持ちかける。そのセッションを境に二人の冷えた心が次第に溶解し始める。
「2007年一番の音楽映画」と激賞された、心温まる不器用な二人のラブストーリー

男は不器用、女も不器用、映画も不器用
とても下手くそに作られた映画だ。しかし、やたらと心地良い。結論からいうと、とても良い映画だ。主人公のグレン・ハンサードは、お世辞にも芝居が上手いとは云えないし、照明も統一感が無い。脚本も練り上げられているとは云い難い。何となく二人が出会って、何となく仲良くなり、何となく別れてしまう。にもかかわらず、この映画は僕の目を釘付けにした。いや、耳を釘付けにしたのかもしれない。もしかしたら、五感すべてを釘付けにしていたかもしれない。とにかく、見ている間異様に心地良いのだ。まるで楽しい夢を見ているようだった。

金の無いストリートミュージシャンである男。昼間は掃除機等の日曜家電の修理で生計を立てている。彼には、忘れられない女性がいた。彼は、その過去の女性にいつまでも未練を引きずっている。女はストリートでの花売りと家政婦の仕事で生計を立てている。彼女には幼い娘と英語のしゃべれない母がいる。彼女の夫は祖国チェコにいる。移民という立場で女手一つで母と娘を食わしていかなくてはならない生活に彼女は疲れていた。二人の冷えた心を救ってくれるものは、音楽だった。二人で一つの曲を作り始める。そして次第に打ち解け始めるが、男は夢のためロンドンに旅立つ。女は男の誘いを断る。寂しくて、暖めて欲しいのに、近づけない二人。関係が壊れることを恐れているのだろう。互いの心の深くまで踏み込み切れずに二人は別れの時を迎えてしまう。
凡庸なストーリーだ。しかし、音楽は凡庸ではない。全編を彩る音楽が、この映画全体を、映画館全体をやさしい雰囲気で包む。二人の奏でる音楽は、物語よりも、台詞やカメラワークや照明よりも雄弁に二人の気持ちを語る。監督自身がミュージシャン出身であるのが、大きいだろう。普通の映画監督は、全てを音楽に託して映画を作ろう、などと思うことができないのだ。

全編、愛が溢れている。音楽への愛と映画への愛。制作者達は、この映画に100%以上の愛情を注ぎ込んで作ったに違いない。それだけの愛情を注げる対象を作る事ができたのは一生の誇りだろう。

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2008年01月14日

映画レビュー#61「潜水服は蝶の夢を見る」

dibingbellandflyingbutterfly.jpg
基本情報
「潜水服は蝶の夢を見る」(2007、フランス、アメリカ)
監督:ジュリアン・シュナーベル(バスキア、夜になるまえに)
脚本:ロナルド・ハーウッド(戦場のピアニスト)
原作:ジャン=ドミニク・ボビー
製作:キャサリーン・ケネディ、ジョン・キリク
出演:マチュー・アマリック、エマニュエアル・セリエ、マリ=ジョゼ・クローズ

公式サイト

http://www.chou-no-yume.com/main.html


2007カンヌ国際映画祭監督賞受賞

今作の原作「潜水服は蝶の夢を見る」です。


ストーリーと映画情報
フランス版ELLEの名編集長として名を馳せるジャン=ドミニク・ボビー。美しい妻と子供3人を持ち、社会的地位をある彼に42歳の時、突然脳梗塞が襲う。身体の自由を奪われ、顔が醜く歪み、動かせるのは左目の瞼のみ。そんな彼が、左目の瞬きのみで自伝を書き上げる。
実在した伊達男、ジャン=ドミニク・ボビーのベストセラー自伝、「潜水服は蝶の夢を見る」を希代のアーティスト、ジュリアン・シュナーベルが映画化した驚異の感動作。

豊かな人生とは
身体の一部に障害を持った人物を主人公とした映画はたくさんありますが、身体が一切動かず、言葉も発することが出来ないほどの障害を持った人物を主人公に据えた作品は初めて見ました。今作の主人公、ジャン=ドミニクは脳梗塞に倒れ、動かすことができるのは、左目の瞼のみ。しかも、この作品はそんな男の一人称で語られる。人はコミュニケーションによって喜びを得る動物だ。言葉で会話し、泣いたり笑ったりして感情表現をして関係を築き社会を生きる。「健全」な人間には、もしそれらの表現機能を一切奪われたとしたら、そこには絶望しかないと思うだろう。社会的地位や名声は、時に人を愚鈍にする。しかし、人間の想像力は実はもっと力強いものだ。社会を「健全」に生きる人は、そのことを忘れがちだ。そして、それを忘れてしまうことは、実は「不幸」であるかもしれない。豊かな生活や社会的名声が人を幸せにするとは限らない。時に不幸な体験が、人にもっと豊かな感性を与えてくれることもあるのではないか。

主人公、ジャン=ドミニクは、フランスの有名ファッション雑誌の名編集長。社会的地位もあり、仕事も順調。美しい妻と子供を持ち、何不自由ない生活。誰もが羨むような社会的ポジションを得た男。しかし、なぜだろう。身体も動かせず、表情も変えれず、言葉も発することのできない彼の方が、病気に襲われる以前の彼よりも豊かに生きているように見えるのは。フランスのファッション業界という地球上で最もな華やかな舞台で、美しいモデルと美しい服に囲まれ躍動する彼よりも、車椅子から離れることもできず、ヨダレを垂れ流す彼の方が輝いて見えるのは。瞬きすることでしか表現不可能な彼は、病気になる以前よりも大きな仕事をやってのけた。溢れんばかりの想像力に満ちた自伝を瞬きのみで書き上げた。愛する妻と子供を抱きしめることができなくても愛を感じることを出来ることを証明した。そして彼は、例え全身が不自由でも人間はその想像力によってどこまでも豊かになれることを証明してみせた。

地位や名声に溺れ、豊かな想像力を忘れた時、人は死ぬのだ。ジャン=ドミニクは幸運にも脳梗塞によって甦ることができた。重い潜水服をものともせず飛び回る蝶のような想像力と共に。


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2008年01月03日

2007年の映画

去年は、一昨年よりも映画館に足を運んだ回数が減ってしまった。
まず、これ反省材料。
2007年に公開の始まった作品は数えたら27本しかみていない。。。

特集上映を見に行く機会が多かったことを差し引いても少なすぎだな。。
合計で50〜60本くらい。一昨年の3分の一くらい減ってる。

まあ、少ないが去年の新作映画で最も素晴らしかった作品は、ショーン・ペン「監督」の最新作、「Into the Wild」。

役者としてもアメリカ最高の彼だが、監督としてもトップクラスだということ証明したよ。
監督、ショーン・ペンは男の弱さを描くのがとても上手。インディアン・ランナーしかり、クロッシング・ガードしかり、プレッジしかり。今作もしかり。社会を上手く生きられない若者が一人荒野のアラスカを目指すこの物語にも、そんなペンテイストが満載。そしてショーン・ペンはそんな弱さを許す。人間だれしも強く生きられるわけじゃないんだ、と。そして彼の映画は、弱さを許す強さを持つ。とても、勇気が湧く映画だ。

日本映画では、青山真治監督の新作「サッド・ヴァケイション」が良かった。やさしさに包まれた青山作品。新境地です。

他に印象に残った作品は、デンマークの「アフター・ザ・ウェディング」この監督、スザンネ・ビエールはすごい才能の持ち主。人間の性を知っている、この人は。圧倒的に深い人間ドラマ。
あとポール・バーホーベンの「ブラック・ブック」も良かった。あとジュリアン・シュナーベルの「潜水服は蝶の夢を見る」、「良き人のためのソナタ」、アラン・レネの新作「Private Fears in Pubric Places」、コーエン兄弟の新作「No Country for Old Men」、久々西部劇の「3:10 to Yuma」、リドリー・スコットのオスカー本命作「American Gangstar」。

印象に強く残ったのは、こんなとこか〜
今年はもっとたくさん見なくては!


※去年亡くなられた世界の三巨匠、エドワード・ヤン監督、イングマール・ベルイマン監督、ミケランジェロ・アントニオーニ監督のご冥福をお祈りします。
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2008年01月01日

今年を振り返る

syogainotomo.jpg
さて、日本ではもう年があけてしまったようですが、アメリカは今12/31の夜の7:30。

アメリカで年を越すのは三年目にして初めてです。毎年、出稼ぎに帰っていたのでね。

アメリカでの年越しは、何をしたらいいのかわからないので(笑)、とりあえず2007年を振り返ろうか。

一月、授業料のために出稼ぎ中。アキバで働いてました。あすこは、もう独立したカルチャーが育まれすぎて、同じ国とは思えなかった(笑)いつかアメリカ人の友達を連れて行きたいと思ったよ。そういえば、友達にメイドカフェをおごってもらったっけ。あれはすげえ。わざわざ、おしぼりで手を拭いてくれた(笑)もはや、キャバクラだった。。。。

2月、アメリカに復帰。翌日から即学校。数学とアカウントがダルいクラスだと気づく。
オスカー授賞式を大変な頭痛にもかかわらず、家のみんなと一緒に見る。菊池凛子は受賞せず、ディパーデッドが受賞で「あー、つまんね」とふて寝。

3月、26回目の誕生日。日本食レストランでちょっとしてパーティーを開く。トップに貼った写真は、誕生日プレゼントにこっちのBest friendにもらったもの。手作りだよ〜(泣)嬉しかった、ホントに。
あとケン・ローチの「麦の穂をゆらす風」を日本でも見たにもかかわらず、さらに2回スクリーンで見る。あと自分の含めて4週連続でBirthday Parthだった気がする。

4月、ちょこっとショートの映画の撮影を手伝い。たまに現場の空気はやはり吸いたい。あと、日本に永久帰国する友達とマジックマウンテンに行く。もう二度と行きたくない。絶叫マシンなんて嫌いだ。あと「バベル」のアレハンドロ監督の講座に出席。

5月、勉強に精を出していた、と思う。あ〜、バスキアの靴を買ってしまったんだ、そういえば。

6月、春のセメスター終了。ビジネス1のファイナルをしくじり、Bを食らう。あんな簡単なクラスをもったいない><
あと、K-1のダイナマイトUSAを見に行く。ニコラス・ケイジを間近に見る。あとヨシキ。あとその他いろいろ有名人いろいろ。その後日本に再び出稼ぎで帰国。帰国したまさにその日から、日本は梅雨入り。ふざけんな、このやろう。

7月、出稼ぎ中なので、せっせと働く。日本の夏の暑さににやられる。なにせ3年ぶりに日本の夏だったもんで。そんな中、シモキタの再開発の原告団の一員に。LA在住でもなれるのがびっくり。小田急線の地下化工事はもう始まっている。南口駅前は無機質な工事現場と化していた。切ない。

8月、引き続き暑さにやられる。横浜の花火大会に行く。キレイだった。日本の花火は芸術だ。今度は屋形船の上で見よう!そしてアメリカに帰国。
翌日から即学校。

9月、クラスが5クラスのため、えらく多忙。引っ越しを検討。さらば、Penmar。あの家でいろんな人に出会ったが、家主がいい加減おかしくなりすぎなので、脱出することにした。

10月。あたらしい家で生活スタート。静かだ、そして落ち着く。1歳の小さい子もいるので、楽しい。子供は癒される。しかし、学校がしんどい。映画館にすら行けない日々が続く。グリーンカードの抽選に応募。当たれ、この野郎!

11月、Enflish2のクラスをドロップ。AもBも取れる見込み無し、と判断。厳しい先生だった。クラスが一つ減ったので少し楽になったが、ビジネス法律のクラスに大苦戦。英語力足りね〜、と心から思った。

12月、秋のセメスター終了。まだ最終グレードがわからないのでドキドキ中。Art1のクラスの為のProjectにリサイクルアートを思いつき、ミシンを買って来て、いらない服を切り貼りして、バッグを作る。楽しかったので、これからソーイングを趣味にしようと思う。

今年みた映画の総括は、また今度書こう。

とりあえずみなさん、良いお年を
Happy New Year!
posted by hotaka at 13:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月21日

映画レビュー#60「3:10 to Yuma」

yuma1.jpg
基本情報
「3:10 to Yuma」(2007、アメリカ)
監督:ジェームズ・マンゴールド(ウォーク・ザ・ライン/君につづく道、17歳のカルテ)
脚本:Michael Brandt、Derek Haas、Halsted Welles
製作:Cathy Konrad(17歳のカルテ、スクリーム)
出演:ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイル、ピーター・フォンダ、ベン・フォスター

公式サイト
http://310toyumathefilm.com/

1957年公開のオリジナル作品「決断の3時10分」です。


ストーリーと映画情報
家族4人で荒野に住むダンは、困窮した生活から抜け出すため、囚人護送の仕事を引き受ける。捉えられた囚人は、ギャングの一団のリーダーであり、伝説のアウトロー、ベン・ウェイド。ダンは、町の保安官とベンに負傷させられた老カウボーイと共に、収容所のあるYuma行きの列車の出る町を目指す。しかし、行く先々でベンの手下が彼を奪還しようと襲いかかる。激しい戦闘に見舞われながらも、辛くも町にたどり着いた一行は、それぞれがある決断をくだす。。。
1957年の「3時10分の決断」のリメイク。

非合理的に生きることの格好よさ
現代社会は、人に合理的に生きるように強いる。そうしなければ不利益を被るばかりだからだ。インターネットは素早く、情報を我々に届ける、非常に利便的なシステムだ。義務教育はなぜ存在するのかというと、現代社会は非常に複雑に入り組んでいるため、なにが自分にとって最適な選択なのかをじっくり選ばせる期間としてある。そうして各人が自分の能力に見合った選択を合理的に選んでいく。老人ホームもまた合理的なシステムだ。年老いた両親の面倒を一括してサービス機関に任せる事ができれば、仕事にも子育てにも没頭することができる。現代社会は万事、物事を合理的に押し進めるために設計されている。
日本には武士道というものがあった。「武士道は死ぬことと見つけたり」の言葉が示す通り、なにか不始末があれば死を持って償わなければならない。そんなことでいちいち優秀な人材を失えば、社会は上手く成長しない。故に近代日本は、武士道精神を駆逐した。武士道は、ある種の非合理的な精神を含む。翻ってアメリカのカウボーイ達はどうだろうか。やはり彼らも持っていたのだ、そうした非合理的な格好よさを。

二人の非合理的な決断
ラストシーン、Yuma行きの列車の出る町に着き、ベンはダンに護送の5倍の報酬をもちかけ、逃がせと云う。保安官も命の危険ゆえにさじを投げている。最早その報酬を受け取っても誰も文句は云うまい。ベンの手下だけでなく、町の荒くれ者全員が彼を狙っているのだ。にもかかわらず。ダンは任務を続行する決断を下す。ベンを引き連れ、ダンはたった一人銃弾の嵐を駆け抜け、列車に向かう。ダンはあえなく銃弾に倒れる。ベンの下に手下どもが駆け寄ってくる。しかし、命がけで助けにきた手下達をなんとベンはあっさり撃ち殺す。血の海に一人たっているベンは、恐ろしく非合理的な決断を下す。護送列車に乗り込むのだ。乗らずとも、誰も止めるものなどいないのにも関わらず。しかも、その後、脱獄名人でもあるベンは、脱走を試みる。脱走するならば最初から乗らなければいいのに。
しかしながら、この恐ろしく非合理な行動は、それ故にまぶしく見えるのだ。

友情でもない、愛でもない
ラストで二人の間に出来る絆は、友情とも恋愛感情とも違う。ただの友情ではない、友情に厚い男なら、命がけで救出にきた手下をあっさり撃ち殺しはすまい。かといって「ブロークバック・マウンテン」のような単純な恋愛感情でもあるまい。それは、きっと現代人が無くした、カウボーイや中世ヨーロッパの騎士達や侍達だけが持っていた別の感情だ。
その別の何かを描ける題材は、もはや現代にはほとんどない。
故に西部劇や時代劇というジャンルは貴重なのだ。

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posted by hotaka at 06:59| Comment(1) | TrackBack(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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